落車、負傷からの復活
それからの米田の回復は、周囲を驚かせるほど速かった。手術の翌日からエアロバイクで練習を始め、落車の約1ヶ月後には「集団走行の感覚を失わない為」にエンデューロレースに出場した。
「本当は大丈夫じゃなかったんですけどね。でも落車の恐怖感を克服しなければって思っていたので・・・。絶対に無理をしない事と、迷惑をかけないって医者に言って走ってみたんです」
その後も北海道でのレースで調整を続けた米田は、9月に開催されたツール・ド・北海道市民レースに出場。本格復帰となったこのレースで、「いける」という手応えを掴んだ。
「ロードもタイムトライアルも、全日本はダメだったから、ジャパンカップでは絶対結果を出そうと切り替えました。だから、初めてインターバルトレーニングを取り入れたんです。それまで避けてきた練習法だったんですけど、やらなきゃダメだって言われて・・・めちゃくちゃきつかったですけどね」
そして迎えたジャパンカップ・オープンレース。
レース終盤、先行する3名を視界には捉えていた。しかし、あと数mとも思える距離がなかなか縮まらない。追いつけないまま、4位でフィニッシュライン。その瞬間、米田は安堵の表情を見せた。
「ゴールした瞬間、ホッとしたのは確かですけど・・・」
米田は嬉しさと悔しさが混じったような、微妙な表情を浮かべて続けた。
「でも、3位以内に入りたかったですね・・・4位って悪くはないんですけど・・・。前の3人が見えていたから、ついていきたかったですね・・・」