これから自転車を始める女子の為に
そんな思い切りの良さと根性を持つ伊藤だが、普段の練習は出来るだけ練習相手を見つけてやるようにしている。
4月のチャレンジロードを走る伊藤。惜しくも、全日本選手権の出場権は逃した
「自分1人で練習すると手を抜いてしまうし、負荷を上げた練習もやりづらいし・・・。それでも怠けてしまいそうになるから、前日から『明日は練習するぞ』って自分を追い込むんです。ウェアとか練習出来る準備をキッチリしておいて、朝起きたらすぐに乗れるようにしておくんです」
昨年1年間、色々なレースに出た伊藤。伸びた部分もあるが、足りない部分の方がまだまだ多い事は自覚している。地元のクラブチームの練習会に混ぜてもらう事も多いが、その度にいっぱいダメ出しされると言う。でも、ダメなところを言ってくれる人がいる事はありがたいと思っている。
「女子の練習メニューとか、データとかを探してみたんですけど、無いんですよね。私はごく一般的な女性のレベルから始めたので、私がやってきた事が、これから始めようとする人達の参考になれば良いと思ってます。特に女子は、何をすれば良いのか解らない人も多いと思うので」
その為にも、もっと強くなりたいと思う伊藤には、全日本選手権に出たいという目標がある。
「今の自分には、出場資格を取る事さえ厳しいのはわかっているけど・・・」
と、恐縮しつつ続けた。
「とんでもない事言ってると思われるかもしれないけど、トップクラスの選手について行きたい」
小さい目標を立てるのが苦手なので、「思い切り大きな目標を立ててみた」と言う伊藤。その大きな目標を達成する為に、にやるべき目標をひとつひとつクリアして行きたいと語る。
イベントのお手伝いは慣れたもの。ファンの子にサインをする伊藤
実は、伊藤にはシーズン終了後に楽しみにしている事がある。それは、お酒を飲む事だ。
「回復の妨げになると思って、シーズン中は飲まないようにしているんです。飲み会は好きなので行くんですけど、ひたすらウーロン茶とジャスミン茶で我慢してます。本当は芋焼酎のお湯割りが好きなんですけど・・・。ジャパンカップが終わったら解禁しようと思ってます」
「なんだかオジサンみたいですね」と言って笑う伊藤の表情は、それまでのストイックな話をしていた時と違う、普通の女子の笑顔だった。
(おわり)
インタビュー日時:2014年1月26日
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