学生選手権レースで世界に一歩近づく日本女子選手達
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日本の今の自転車女子選手たちに足りないモノを上げるとキリ
がない。まずは練習で走る距離が足らない。 1日100から
150km近く乗る選手はどれくらいいるだろう?それに補給の経
験が不足している。 レース前後に加えて、レース中の補給の
内容、さらには普段の食事内容についてもどれぐらい考慮して
いる のだろうか。レース中に補給をするにも手をハンドルから
一時的に離して補給のバーの包みを取ることも 出来ない。集
団の中で密集して安定して自分のペースを守って走る事がで
きない。それと雨だの風だの暑い だの、天候条件の悪いレー
スではビックリするほどパフォーマンスが落ちてしまう。
この上記にあげた例だけを当てはめると、毎日、体力が落ちな
い程度の距離を練習し、自分の練習内容を あまり振り返らず
にレースに出て、補給もロクにレース中に取らず、集団の中で
は怖くなってしまい、 ズルズルと後退して、暑さのなかでへば
ってレース終了、ナンマイダーとなるのであった。 ・・・書いてい
るうちに、自分の選手現役時代を思い出しているようでイヤに
なってきたのでやめよう。
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とにかく、こんな素地を作ってしまったことは選手やチームにも
問題があるが、そのチカラを試し発揮するレース そのものにも
問題があるのだ。日本の多くの自転車レースにおいて、選手
人口の割合が非常に男性に 傾いていることもあって、女子の
レース設定はどうしても「オマケ」扱いとなりがちだ。 さらに、自
転車レースでは夜真っ暗なところで走ることは非常に稀である
ため(そんな稀なレースもあるが)、 日中の限られた時間の中
で、数クラスのレースを実施しなければならない現状もある。
だからといって、どこの女子レースに行っても(耐久系のレース
を除いて)、50kmとか40km、酷いレースだと 30kmを切っている
距離の設定では、もしも非常に前向きに世界を目指して、毎日
もしも100km以上走りこんで 練習し準備しても意味がないと思
ってしまう。さらに女性の立場から言わせていただくと、そんな
分かりきっている状況なら、先に無駄な練習をしないのが防衛
本能に優れた女性の「性」なのである。 別にサボっているという
わけではない。そういう生物だと思っていただければ幸いである。
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しかし逆に追い込まれれば、男性以上にチカラを発揮するのが女性の「性」でもある。
この学生選手権ロードで 女子レースに課された距離は100km!国際自転車競技連盟(以下・UCI)の公認する女子ロードレースでは
1日100km前後を走るレースがスタンダード(それをステージロードレースという数日間に渡るレースでは、その距離を複数日間こなし
ていくのだ)。さらにいえば、世界一の選手を決める「世界選手権」では 女子でも130から150km前後を一日で走る(ちなみに男子は
約260km・・・)。100kmのレースに出場する ということは、世界を視野に入れて練習と準備をする近道にもなるのだ。
そんな日本で唯一の「女子100kmロードレース」当日は、朝から天候が不安定。距離もさることながら 悪条件まで世界仕様になってい
て選手たちは、本当にイミでの「タフさ」を競うことになりそうだ。 スタート前には学生選手権ということもあり、大学自転車部で普段は、
多くの男子選手に囲まれて 切磋琢磨する女子選手が並ぶ。その姿は、スポーツ一直線でない良い意味での「華やかさ」がある。
彼女達は、きっと学校の勉強も自転車部の練習も、そしてプライベートも試行錯誤しながらも、 うまく両立できるように日々、頑張って
いるのだろう。学生は勉強するのが「一番の仕事」である。その メインの部分を怠らないように部活やプライベートを行なうことは、社会
人になってからの充実した生活 に繋げることが出来ると思う。優秀な社会人自転車選手の多くは、会社で残業しながらキッチリ働き、
休日に効率良く練習、その環境を作るために家族サービスもするし、会社でも重要な仕事を任される。 そしてレースでもちゃんと結果を
残しているのだ。
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スタートは直前に降りだした雨の中。序盤からなかなか速いペース
でレースが進んでいく。 集団の先方を固めるのは、昨年のディフェ
ンディング・チャンピオン萩原 麻由子(現:サイクルベースあさひ)
を輩出した鹿屋体育大学の川又千裕、木村奈美(彼女は以前、高
体連選抜チームなどでも走っていた)、 早坂ありさの3名、それに
東北に拠点を置く青野奈美(SEKIみちのく)に加え、志村みち子(ラ
ブニールあずみの)、 小島綾子(TeamFITTE)、戸井麻里子(なるし
まフレンド)という実業団レースの上位常連選手たち。 他の参加選
手たちがボロボロと先頭集団から落ちていくなか、この先頭集団メ
ンバーに混じりRGJの福本千佳 と下久保初菜が粘る。途中で集団
から川又と青野の2名が抜け出して逃げると、川又のチームメイトが
2名も 残った集団は予想通りにスピードが落ちていく。2名の逃げを
容認するためだ。その状態を打開するべく、 RGJ福本と下久保で何
度かペースアップを図ったようだが思うようにペースが上がらなかっ
たようだ。 逆に体力を消耗してしまったRGJの2選手は、先頭との差
を広げていってしまった。 |
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ゴールを見届けるために周回を終えて、最後の登り1kmに入るコース
の頂上地点に急ぐ。先頭を待っている間に 雷が落ち、雨はとうとう土
砂降りになってしまった。そんな中、トップで入ってきたのは、みちのく
青野選手。 堂々としたその走りで、鹿屋体大の川又選手に競り勝っ
たのだった。それからは次々と間が開きつつもゴール してくる選手た
ち。しかしなかなかRGJチームのジャージが見えてこない。
ようやく福本が9位、下久保が11位、 そして、単騎ながらも最後まで
走りきったRGJ堀 友紀代がゴールに入った時点でタイムオーバー。
何とかRGJからは5名出場のうち、3名が完走を果たせた。
しかし、昨今おかげさまで順調に結果を残してきたRGJチームには、
今大会を戦ったことで大きな課題が残った。 それが、このレポートの
冒頭に書いた「世界の舞台に立つため」の1つ上のステップに登るた
めの課題だ。 この課題を選手とスタッフで持ち帰り、早速、練習のた
めの対応スケジュール等が改良された。
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この日のレースを戦い抜いた女子選手達は今日のレースの辛い経験を、絶対に今後の国内や海外の様々なレースに生かされると思う。
国内だったら今日のレースに比べたら、50kmそこそこの他のレースなんて約半分の距離なのだ。 きっと、彼女たちは犬に噛まれている
のが、蚊に刺されたと思えるぐらいの軽さで戦えると思うのだ。 それと今後の大きなもう1つの問題として、参加女子選手の数を増やす
必要性が急務であると思う。 やはりある程度の人数の集団で長距離を走らないと、さらに世界にもっと近づけないと思うのだ。
来年は、この長野県木祖村の大会に日本の女子選手達をかき集めて、世界標準に迫る 「女子ロード・ワンディレース」を日本で実現した
いと心から願うのであった。
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大会名:第25回全日本学生選手権個人ロードレース大会:レース結果
主催:日本学生自転車競技連盟
共催:(財)日本自転車競技連盟長野県自転車競技連盟
会場:長野県木曽郡木祖村 奥木曽湖周回コース1周9.0qサーキット (フィニッシュは+1km、柳沢尾根公園頂上)
開催日:2009年5月30日(土)
女子レーススタート PM1:00 女子 100q(9q×11周+1km):レース結果(出場18名・完走12名)
順位 選手名 チーム名 登録地 タイム -- 平均時速
1位 青野 奈美 SEKIみちのく 宮城 2:59'02 先頭との差 33.51km
2位 川又 千裕 鹿屋体育大学 鹿児島 2:59'10 0:00'07 33.49km
3位 木村 奈美 鹿屋体育大学 香川 3:04'01 0:04'58 32.60km
4位 明珍 裕子 朝日大学 岐阜 3:04'08 0:05'05 32.58km
5位 志村みち子 ラブニールあずみの 埼玉 3:04'21 0:05'18 32.55km
6位 小島 綾子 Team FITTE 東京 3:05'05 0:06'02 32.42km
7位 早坂ありさ 鹿屋体育大学 宮城 3:14'47 0:15'44 30.80km
8位 戸井麻里子 なるしまフレンド 埼玉 3:15'33 0:16'30 30.58km
9位 福本 千佳 Ready Go JAPAN 大阪 3:16'16 0:17'13 30.57km
10位 青木 房江 VOLCAオードビーBOMA 千葉 3:16'52 0:17'49 30.48km
11位 下久保初菜 Ready Go JAPAN 京都 3:17'25 0:18'22 30.39km
12位 堀 友紀代 Ready Go JAPAN 神奈川 3:18'02 0:18'59 30.30km
DNF 吉井 玲香 Ready Go JAPAN 茨城 -5Lap
DNF 松田 千裕 Ready Go JAPAN 北海道 -8Lap
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